■化学防護手袋研究会とは

平成27年12月に発覚した福井の事業者における膀胱がん発症事案以降、化学物質の経皮ばく露の防護対策が緊急課題となっています。
平成29年1月には厚生労働省から「化学防護手袋の選択、使用等について」という通達が出され、手袋使用事業者・手袋製造事業者等が留意すべき事項等が記されました。
しかし、今の我が国においては、化学物質に対する手袋の耐浸透性・耐透過性や耐劣化性などの基本情報が欠如しており、また物性に関わる基礎検討も行われていないなど、現状では手袋使用事業者が手袋の適正な使用や維持管理を行うことは極めて困難となっています。

このため、化学防護手袋の国際的技術動向、化学物質の計測や検出、手袋性能の一層の向上のための材質検討や加工技術などの収集と整理、また新たな課題の発掘が喫緊の課題となっています。
当研究会は、これらの情報や個別課題の検討状況の最新情報を共有する場として、十文字学園女子大学大学院の田中茂教授(当時)により起案されました。
今後も、研究会を通じて化学防護手袋の製造者や使用者が化学物質へのばく露を防護するための有益な情報を入手できるよう、活動していきます。

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■会長のご紹介

宮内 博幸 (みやうち ひろゆき
専門 保健学博士
(作業環境測定計測学、労働衛生工学、衛生管理学)

昭和36年  東京都出身
昭和60年  北里大学 衛生学部 産業衛生学科 卒業
昭和60年  千葉県衛生部 千葉県がんセンタ-
平成元年  一般財団法人産業保健協会 研究開発部 部長
平成21年  東京医科歯科大学 医学部保健衛生学科 非常勤講師
平成27年  神奈川大学工学部経営工学科 非常勤講師
平成28年  産業医科大学 産業保健学部 作業環境計測制御学 教授
令和4年  日本産業衛生学会 九州産業衛生技術部会 部会長
日本労働衛生工学会 理事
福岡産業保健総合支援センター 相談員
公益財団法人 日本建築衛生管理教育センター 教授
令和5年  産業医科大学 産業保健学部長

故田中茂先生は「労働衛生保護具は、配布するのみでなく、事業主による教育が必要である。有害性のみならず、保護具の有効性や選択した理由、使用する保護具の機能や使用上の注意事項から点検保守管理の方法まで、使用する作業者へ教育することが大事である」とおっしゃっていました。本研究会は、多くのメ-カ-やユーザ-、研究者が入会されており、協力して研究することで、働く方々の健康をしっかりと守っていく新しい化学防護手袋の技術が構築できると思います。このことを実際の作業者の方々へ伝えて普及させることまでが、本研究会の使命と思っています。                                       宮 内 博 幸